個別的効力説の概要

teacher01_l日本の違憲審査制では通常裁判所が具体的訴訟事件を裁判する際に、その前提として違憲審査を行う付随的審査制のスタイルがとられています。そして、実際にある事件に於いて特定の法令が違憲とされた場合にはこの違憲とされた法令の効力はどうなるのかという問題があります。これについては諸説ありますが、通説である個別的効力説では付随的審査制の下では具体的な争訟事件を解決するために法令の合憲・違憲を判断するのであるから、法令が違憲とされた効力は当該事件のみにかかわると解されています。これに対して、裁判によって違憲とされた法令は何人に対しても一般的に無効となり、国会によって廃止されたのと同様に法令としての存在を失うとする一般的効力説もあります。しかし、この一般的効力を持つとする裁判所に消極的立法作用を認めることになり、立法権を国会に独占させた憲法41条と抵触する恐れがあります。但し、法令は本来不特定多数者に対するものであることから、違憲判決の効力が個別的効力しかないとすると法令の基本的な性格だけでなく、ひいては平等原則に反することにもなりかねません。このことから最高裁判所の違憲判決に対しその法令を廃止する効果は生じないものの違憲とされた法令は一般に執行されないと云う折衷的な見解もあります。

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