法律委任説の概要

法律委任説とは、憲法が81条で定める裁判所の違憲審査制の性格について解釈されている学説の1つです。そもそも違憲審査制は大陸法系諸国やアメリカに於いて、権力分立が成立した歴史的な過程によってそのスタイルが異なっています。そして、これらの影響を受けた日本の違憲審査制のスタイルは司法は裁判所(76条)、立法は国会(41条)そして行政は内閣(65条)と三権が分立しており、当該国家行為をなした国家機関以外の機関が判断権者となる裁判統制型を採用していますが、実際の違憲判断をどのように行うのかが問題となっています。そして、これについての見解は判例及び通説である付随的審査制とする説や抽象的審査制とする説、そして法律委任とする説があります。そこで、この法律委任と解した学説では76条の「司法」の意味を柔軟に捉え、憲法は最高裁判所に特別に設けられる憲法裁判所の性格を与えることを禁じていないことから、法令の整備によっては最高裁判所に司法裁判所と憲法裁判所の性格を併有することが可能であるとしています。そして、この学説からは付随的審査制説のように具体的な争訟を要せずこれとは無関係に違憲判断を行うこともでき、その違憲判決の効力は個別的な事件に限らず、広く一般的にも効力を発揮させることが可能です。

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